読書

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー4巻 感想

第3部開始。ジャンクヤードを離れた人物たちの徹頭徹尾厳しく過酷な現実と、第1部の中心であったアクションシーンが見所の巻だった。次巻で終わりということだが、この巻の最後の引きは、次がとても読みたくなるというものだった。 作者あとがきの、“ジャン…

少女禁区 感想

チョコレートの方は物足りなさしか残らなかったが、表題作『少女禁区』は素晴らしい! まちがいなく傑作でした。 次第に明かされる少女の過去、そして二人の関係とその仕掛け、それに至るまでの経緯も含めて、どれを取っても掛け値なしに褒められる1作。2人…

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー3巻 感想

1,2巻の流れに至るまでにあったと思わさせられていた何かがこの3巻の過去編で一気に明かされました。いやもう、大いに化けましたよ。 とりわけ、主に2巻であった様々な謎や、元になっている話が一挙に書かれていた。320ページ以降ではなるほどと納得、380ペ…

euphoria 〜another room〜 感想

ゲームはプレイ済み。 まず本人(ゲームの企画・シナリオライター)によるノベライズとのことだが、特に注意して読んでいた地の文は悪くない。ちゃんと必要な文が過剰すぎず過小過ぎず書かれており(と言ってもゲームをプレイ済みという補正は掛かりますが)…

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー2巻 感想

ジャンクヤード編終了。キャラクターと変身異能バトルに重きが置かれていたここまでの流れが一旦終了、とのこと。 無駄が無く、伏線を回収しつつ同程度或いはそれ以上に張るという流れで飽きずに最後までいけた。次巻の過去編、そして敢えて銘を打っている“…

機動戦士ガンダムF91 クロスボーン・バンガード 感想

上 他の人の感想にも書かれているように、上巻全体の2/3は、劇場版の出来事以前の事に多く割かれている。劇場版で描かれていた部分に関しても、大筋は同じだが細かいところや台詞回しが違っていた。 また、主人公やヒロインの心情描写が細かくあったりと、劇…

妖精作戦 感想

初読です。 いやーもう、素晴らしい、の一言に尽きます。これほどの作品を何年もの間絶版のままにしておいた出版社は糾弾されても文句は言えないんじゃないかと言わざるを得ない内容でした。具体的な話の内容に関して、取り敢えず細かくは語りませんが、普段…

輪るピングドラム(上) 感想

アニメ未視聴です。 まず小説としてどうか。良く出来ていると思います。アニメは未視聴であるが故に、ピンドラというアニメ作品以前に読み物として面白いかどうか、良く出来ているかどうかを念頭に読んだんですが、何ら問題ありません。“小説としてどうか”と…

マインド・イーター[完全版] 感想

読了しました。まず、今年読んだ新刊で一番面白かった作品と言っておきます。 以前、飛浩隆の『グラン・ヴァカンス』を読んで好きになりまして、それから飛さんのTwitterをフォローしたり、ブログ記事を昔の分も含めて殆んど読んだりと、飛浩隆ファンをやっ…

あなたの魂に安らぎあれ 感想

昨日、読了しました。話の概要や解説は省略。自分語りと雑感だけ書きます。 俺が神林作品で読了済みなのは、長編が戦闘妖精雪風<改>、完璧な涙、我語りて世界あり。短編(集)が言葉使い師、狐と踊れの計5作品(冊)でした。それらと比較すると、この『あ…

僕は友達が少ない 7巻

読了。通常版なんでDVDはもちろん見ていません。 まあ、こんな題材を扱っているならいつかはこういう話になっていくんだろうなーと思ってはいたけど、とうとうきたかって感じです。逆説的に、これ以上のものは望めないような気がしないでもないですけど、望…

魔弾の王と戦姫 2巻 感想

1巻に引き続き、主人公の地味ながらも好感が持てるキャラクター性、無駄のないサクサク進むテンポの良い展開など読んでいて面白かった。そして概ねの予想通り、ヒロイン格の女の子が一人増えたのだが、どうして最近――昔からか?――のライトノベルは1巻につき…

僕の妹は怪盗に変装しているつもりです。 感想

二次元ドリーム文庫2冊目はこの作品。話の概要と、表紙の絵を見て購入。変装しなければ大胆になれない妹がお兄ちゃんを誘惑し、エロ漬けの毎日を送る話。 単純にエロは濃く、シチュエーションも優秀。実用性もあった。絵師の名前は聞いた事がない人だったが…

はぐれ勇者の鬼畜美学 2巻 感想

主人公の俺TUEEEっぷりが前巻と同様に遺憾なく発揮されていたのだが、隠された真の強さの一片も垣間見ることができた2巻だった。また、次巻への、話の核心に繋がるであろう布石も特に最後にあり、気になる終わり方となっていた。1巻であった「聖水の絆」的イ…

ツンツンしてた小悪魔妹が嫁になるまでデレた理由 感想

おそらく、人生で初の二次元ドリーム文庫がこれ。 概観は、エロゲーをそこそこプレイしている俺が感じたところでは至極エロゲーちっくであるように感じた。最初は仲違いしていた二人が、ある事件を切欠に和解し、そして主人公は妹に惚れられ、初エッチをして…

マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 感想

話の概要や、これこれこういう部分が面白いのだというありきたりな説明を、俺がこの場で改めてする必要はないと思うので割愛する。 ただし、読了後にとりわけ気になった点がある。それはこの本を読んでから読書メーターでざっと感想を眺めていたら思い浮かん…

Xの悲劇 感想

読んだのはハヤカワ文庫版。話の概要とか、これこれこういうところがよかった、ってのは、正直ミステリー作品ではあまり書けない――と言うと語弊があるか。少なくとも古典ミステリに関しては俺が書くまでもなく他で語られている――ので割愛するとしても、思う…

はぐれ勇者の鬼畜美学 1巻 感想

作者本人も言っているが、まさに「強くてニューゲーム」という表現が合っている話だ。テキストは、読みやすいがスカスカなわけではなく詰め込みすぎているわけでもなく至極適当な感じで、話の展開や核心と思われる風呂敷の広げ方、テンポの良さも上手い具合…

魔法科高校の劣等生 1巻 入学編(上) 感想

兄の俺TUEEEEっぷりと妹の兄に対するブラコンっぷり、そしてサクサク読めるテンポの良さがいい。厨二要素も、いつもなら大体毛嫌いしちゃうけれども魅力がそれに勝っていた。改行が気になるが、我慢できる範囲。魔法の概念とか設定は、そこそこ惹かれる程度…

魔弾の王と戦姫 1巻 感想

1週間くらい前に読了した小説。 今まで読んできたMF文庫Jの作品で一番面白かったかもしれない。MF文庫Jの、今流行りの受けが良さそうで、はっきり言ってあまり中身のないいかにもラノベらしいラノベのような展開やサービスシーンがあるわけではなく、そこそ…

火刑法廷 感想

推理小説的な解決部分が結構面白かっただけに、エピローグでの解決部分は、俺はあまり好きじゃないなと、正直言って疑問が残った。ただ、この話は二重構造的であるが故にエピローグの手法での解決は間違えなく必要――というかカーは初めからこの結末にしたい…

そして誰もいなくなった 感想

これがクリスティーの最高傑作――そのように文庫の裏表紙に書いてあったもので、世間的にはそうなのかなと――だというのならば、俺は他のクリスティー作品は読む必要はないなあと思った。大体絶賛している感想が多くて、えぇー……? と。あとクローズドサークル…

月の影 影の海(上)―十二国記 感想

とても不愉快なのだけれども、読み手にページを捲らせてしまう作者の筆力は凄いと思う。ぐいぐい読ませられた。 でもさあ、ここまで貶めれば、そりゃ誰が考えてもあとは持ち上げるしかないよなあと思うわけで、だからこそ下巻で「上巻があんなに酷かったのに…

星刻の竜騎士 5巻 感想

一区切りの前巻から一転して終始長閑な感じだった5巻と言いたいところだが、なんとこの巻でまずは一区切りだそうで。まあ、4巻読んだ人達が勝手に「これで区切りだ」的な雰囲気を醸し出していて、俺もそうだと思って便乗していたのですれども、作者は何も言…

星刻の竜騎士 4巻 感想

本シリーズ一区切りの、シリーズの中で見せ場が多かった巻だった。主要な人物の秘密が明かされ、今後語られるであろう要素も書かれていた。また、世界の根幹に関わる設定も段々と見えてきている。そして相変わらずの触手シーンは健在。主人公と相棒の関係も…

虐殺器官 感想

ネビル・シュートの『渚にて』が前世紀の核の恐怖に怯えた人類に読まれるべき小説であったのなら、『虐殺器官』は今世紀最初に起こったテロの恐怖を身近に感じた人類に読まれるべきそれだと思う。しかしこれは何も反戦を謳っているわけではない。我々が、「…

ソラリスの陽のもとに 感想

この作品の何が凄いのかと言えば、当時のアメリカ式宇宙SFの常識を見事に覆した点に尽きる。この本の訳者あとがきに書かれている作者のまえがきで、アメリカのSFについて言及なされているが、これらの見解は本文中にもまるでアメリカのSFを皮肉っているかの…

地球の長い午後 感想

地球に植物が跳梁跋扈したらという設定に作者の圧倒的な想像力を垣間見ることが出来るが、如何せんそれを表現している文章の形容が複雑怪奇であり、かつ、訳が古いこともあり、情景を中々想像しにくかった。ただし、それはプラスにも考えられ得ることは断っ…

幼年期の終り 感想

どこからともなく飛来して来た宇宙人が地球を管理する中で、人類が広大な宇宙においては全くもって意味を為さない存在であるということ。そして来たる人類の消滅は連綿たる時の流れの中で一時の安息に過ぎないが、同時に人類の幼年期の終わりでもあった、と…

星を継ぐもの 感想

まず、ホーガンが処女作でこれだけの内容のものを書いたことに驚きを禁じえない。話自体はそんなに新鮮味はないし、ところどころ欠点もあるのだけれども、段々と謎が明かされていく過程で、そして最後の真実で、SFの夢が最大級に詰まっていた。読んでいて、…