ノラと皇女と野良猫ハート 感想

 プレイ終了したので、感想を書きました。ネタバレなしです。

 まず、HARUKAZEというエロゲーメーカーの作品は初でした。ライター、絵師も初見。プレイ時間は19時間。ゲーム内でプレイ時間を計測してくれる機能がありました。

 話なんですが、異世界からヒロインがやってきて――という感じ。頭狂ってるんじゃないかこれってレベルのギャグをかまされるので、必見かと思います。

 各ルートですが、異世界キャラクターがその世界に馴染むまでの過程をまざまざと見せられる、という話はわりあい新鮮でした。とりわけパトリシアルートではそれが顕著で、価値観のシフトが次第に行われていく様、その過程で世界を鮮やかになっていき、心のなかにハートが芽生えてくる展開はなかなかに秀逸だったかと。
 黒木未知ルート。キスをすると猫になってしまう現象がパトリシアの魔法から離れて、想いが相手を変えてしまうところから、自分のかつて苦い過去からの脱却と、共通ルートであった告白の台詞がまさかこんなにも印象的に活きてくるとは……といった印象です。
 シャチルート。主人公とシャチ、そして二人の母親の過去から今へと続く関係を「気持ちが天気に現れる」という要素で表現したルートでしたね。家族でもなく、兄弟姉妹でもなく、一人の女の子として好きという告白シーンが印象深い。
 ユウキルート。自分が大切な人たちと一緒にいる居場所を守ろうとしたときに、大切な人たちが「それでいいじゃないか、守りたかったんだろ」と言ってくれるこの関係性、いわゆるアウトローな過去があるユウキというキャラが本当に周りに大事にされているんだなというところが実に良かったです。

 総じて、どのルートでもキャラクターの描き方が素敵な良作でした。まさしく「絶対キミと添い遂げる、臆病で勇敢なブレイブハートストーリー」だったかと思います。
 キャラクターの、キャラクターに対する想いと行動がとてもマッチしていて、単純なシチュエーションに留まっていないところが好みですね。