火刑法廷 感想
推理小説的な解決部分が結構面白かっただけに、エピローグでの解決部分は、俺はあまり好きじゃないなと、正直言って疑問が残った。ただ、この話は二重構造的であるが故にエピローグの手法での解決は間違えなく必要――というかカーは初めからこの結末にしたいが為にこういう構造にしたのだろうか、解説を読む限りだと狙ってやったとしか――だと思った。
また、これを推理小説的解決の後に態々持ってきた事が、この小説の魅力をただの推理小説以上に増す結果となったと言わざるを得ない。あくまでこれは“怪奇”ミステリなんだよな。
まあいずれにせよ、どちらの解決方法を採っても納得出来るのは、それだけ完成度が高い作品という証左に他ならないと思う。
- 作者: ジョン・ディクスン・カー,小倉多加志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/05/01
- メディア: 文庫
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