千の刃濤、桃花染の皇姫 感想

 ネタバレ無し。プレイ時間は24時間でした。
 オーガスト作品はこれで10本目。『穢翼のユースティア』と『大図書館の羊飼い』のファンディスクが未プレイです。昔はオーガスト信者だったので、初期作からやってますね。
 ちなみに直近では4年前に『大図書館の羊飼い』をプレイ済みです。

 あらすじとか各ルートとか、説明は省いて手短に。
 ざっくり言ってしまうと、良さよりも粗さが目立った作品でした。前半の学園ものと、後半の歴史ものっぽさがどうもこう……ミスマッチな感じが否めません。ルート分岐が基本、階段方式なので最後までプレイしないと核心部分については一切開示されないので、批評空間風に言うとオールクリアに価値ありの作品だった……というのは別段構わないんですが、いわゆるグランドルート以外の個別ヒロインルートの締め方、あれをやるくらいなら完全に1ルートに絞ったほうが良かったんじゃないかなと思いました。やはりこの作品で描かれていた戦争や政治、歴史といった題材については、書き手の力量に本当に左右されるなぁと率直に感じましたね。戦闘シーンの演出は、今までのオーガスト作品と比べると中々の出来でしたが、あくまで今までのオーガスト作品と比べると、というレベルです。
 グラフィックに関して。べっかんこうだけではない原画陣で、ただそれにしてもどうも違って見えるCGが多かったのもあまりいい印象がないですね。安定感がなく、結構なマイナスポイントです。対して音楽はサントラが欲しいくらいには良かったと思います。エロゲーでは聴く機会が少なめな印象の、和のテイストが好きですね。

 たとえば『大図書館の羊飼い』は、減点法でいくと限りなく100点に近い作品になってしまう、あとは好みの問題という評価で、それまでのオーガスト作品とはわりあい打って変わって手堅さが相当に良かった記憶があるんですけども、こちらは意欲作ではあるけれどもどうもそれまでに留まっているかなあと。
 いわゆる萌えだけじゃない、流血、血しぶき、残酷な描写などかつての作品と比べるとそういう要素は多いけど、ベースとなる部分は昔の傾向のまま抜け出せておらず、でも違ったこともやるんだという意識は先行していて、実際に蓋を開けてみてみたら「あれ、意外にそうでもない?」とでも言いましょうか。まだ途上にある作品でした。
 はてさて今後のオーガストやいかに。*1

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千の刃濤、桃花染の皇姫


*1:そのうちユースティアもやらんとなぁ。