虐殺器官 感想

 ネビル・シュートの『渚にて』が前世紀の核の恐怖に怯えた人類に読まれるべき小説であったのなら、『虐殺器官』は今世紀最初に起こったテロの恐怖を身近に感じた人類に読まれるべきそれだと思う。しかしこれは何も反戦を謳っているわけではない。我々が、「今、ここに」生きていくための小説なのだ。近い将来この小説は必ずや全世界に向けて発信されるだろうと確信している。
 作者が夭折なされたことが本当に悔しい。

(2010年6月25日に読了し、読書メーターmixiのレビューに書いたものを転載しました。正直言って、俺はこんなちっぽけな感想しか書けていないことに不満を抱いているのですけれども、内容がすっかり頭から抜けてから再び読み、その際はちゃんとした感想を書きたいと考えています。)


虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)