少女禁区 感想

 チョコレートの方は物足りなさしか残らなかったが、表題作『少女禁区』は素晴らしい! まちがいなく傑作でした。
 次第に明かされる少女の過去、そして二人の関係とその仕掛け、それに至るまでの経緯も含めて、どれを取っても掛け値なしに褒められる1作。2人の関係性は人によっては甘口すぎるのかもしれませんが、ここ最近特にラブコメやラブいちゃやさくさく読めるライトノベルに被れている俺にとって、ご褒美以外の何物でもありませんでした。大好物です。


 あとは適当に審査員の先生方の選評とか読んでみて。貴志先生の選評、「かつて私自身を選んでいただいたお三方と同席するだけでもホラーだった」に笑った、座布団一枚。林真理子・選評の最後の段落、「今回も幼女の性的虐待を扱った応募作がいくつか〜〜」とあって、うーん、と。高橋克彦・選評「「思いがけない怖さ」こそ反対に全体の怖さを薄れさせる要因となる〜〜」以下の部分は、なるほどなと。
 選評は読んでいて、その作家が何を考えているかがよく分かるので、こういう受賞作を読む場合には必須ですね。


 まとめ。新人作家ということだが、文章は読みやすいし、展開や構成もよくできている。これからが非常に楽しみな作家だ(――と言ってもこれ自体1年前の本です。まあ、ギリセーフだと思いたいところではありますが)。


少女禁区 (角川ホラー文庫)

少女禁区 (角川ホラー文庫)