月の影 影の海(上)―十二国記 感想
とても不愉快なのだけれども、読み手にページを捲らせてしまう作者の筆力は凄いと思う。ぐいぐい読ませられた。
でもさあ、ここまで貶めれば、そりゃ誰が考えてもあとは持ち上げるしかないよなあと思うわけで、だからこそ下巻で「上巻があんなに酷かったのに下巻では主人公が成長した! 読んで良かった!」という感想になる――なるのが目に見えている――のがどうも鼻につくというか、計算ずくに見えるというか。そういう意味でも不愉快に感じた。二重に不愉快な気分だ。
まあ、不愉快になるということは、それだけ作者の目的と、その目的を達成するための方法が上手いこと機能しているから、読み手は不愉快になるんだよね。そうでなければ「この話、意味が分からない」の一言で終わるわけだし。そう考えるとやっぱりこの不愉快さは計算ずくだよなあ。
ちょっとひねくれ過ぎですかね?
もうちょっと素直に読んだ方がいいのかなあ……。
月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
- 作者: 小野不由美,山田章博
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/06/20
- メディア: 文庫
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