大神 感想

 ネイチャーアドベンチャーという初めて聞くジャンルだったけど、要するに犬を操作して妖怪に侵された大地・自然を取り戻していくアクションゲーム。
 操作性は可もなく不可もなく。普通。とりわけ凄く良く出来ているというわけでもなく、悪すぎるというわけでもなかった。強いて言うなら、筆で何かしらのものを描くことで超常現象が起こりそれをアクションとして、というものは今まで見たこともやったこともなかったので、新鮮だったと言えば新鮮。
 話、これもまた普通。自然を取り戻していく中で様々な生き物に出会うわけだけれども、その人達が結局どうなったのかというのもありきたり。まあ、序盤からヴィジュアル、音楽ともに和風の雰囲気は抜群に良かったのだけれども、如何せん話が至って平凡で、当たり前のことしかしていないよなあという印象しかなかった。それがずーっと、もうラスト前まで本当に何気なく淡々と続いていたもんだから、こりゃどうしたもんかなと思っていた矢先――

「おねえちゃん、ワン子どこかで泣いてるの?」

 ――ここから始まるラストバトルの演出が全てを持っていった。否、持っていかれました。このラストバトルを超えるゲームには、もう出逢えないかもしれない。平凡、ありきたり、何気なく……そんな一つひとつの積み重ねが最後にこうくるか……! と。神として、という設定もようやく納得がいった。こういう設定じゃなければこういう展開に出来ない。
 そして何より『太陽は昇る』だよ。いろいろと反則すぎました。なんだよこの曲名は……もちろん曲としても素晴らしい。ここぞとばかりに流れるんだもんなあ、「この戦い、負ける気がしない!」と思わずにはいられなかったよ。

「オイラたちの気持ち、きっとアマ公に届いてらァ。
 アイツなら……どんな暗闇の中だってお天道サマみてェにニッコニコよォ!」

 “これの良さが分かる”という意味で、日本人に生まれて本当によかった。
 心の底からそう思えるゲームでした。


大神(OKAMI)

大神(OKAMI)