魔弾の王と戦姫 2巻 感想

 1巻に引き続き、主人公の地味ながらも好感が持てるキャラクター性、無駄のないサクサク進むテンポの良い展開など読んでいて面白かった。そして概ねの予想通り、ヒロイン格の女の子が一人増えたのだが、どうして最近――昔からか?――のライトノベルは1巻につきヒロインが1人増える構成なのだろうと疑問を感じないわけではない。MF文庫Jだから余計に。まあ、魅力的だし可愛いからどんどんやって欲しいのだけれども。
 ただ、その1人増えたのがちょっと個人的に引っかかってしまった。というのも、1巻で登場したヒロイン格の子――1巻の表紙の女の子――は、それこそ出会った当初主人公に対して懐疑的だったのだが、一連の交流をする中で気を許し、主人公を気に入るという流れになっており、2巻で増えたヒロイン格の女の子――2巻の表紙の女の子――も1巻のそれと同様になっている。ここで、1巻の中盤から終わりにかけてようやく仲良くなった女の子が、2巻ではよりイチャイチャっぷりを発揮するのだが、そのせいで、2巻で登場した女の子が2巻の終わり近くになってようやく気を許す、つまり言いかえるとその気を許してからのやり取りの分量が少なすぎるため、せっかく表紙になっているにも拘らずそんなにイチャイチャっぷりは書かれずあまりニヤニヤ出来ない感じになっていて、むしろ1巻の表紙の子とのやり取りの方がニヤニヤ出来るという感触だった。1巻につきヒロインが1人増える構成を踏襲しているライトノベルシリーズは、昨今では珍しくなくなったが――と言っても俺はライトノベルをごく最近になってから読み始めたから、昔の事情は知らないのだが――、こういう部分で弊害らしきものが生じてしまうのかなあと感じざるを得なかった。
 3巻目では新たなヒロインと共に、本巻で登場したヒロイン――本巻の表紙の子――と主人公の間のニヤニヤ出来るやり取りに期待したい。