はぐれ勇者の鬼畜美学 1巻 感想

 作者本人も言っているが、まさに「強くてニューゲーム」という表現が合っている話だ。テキストは、読みやすいがスカスカなわけではなく詰め込みすぎているわけでもなく至極適当な感じで、話の展開や核心と思われる風呂敷の広げ方、テンポの良さも上手い具合だった。よくできていると思う。結構広く作中では展開しそうだ。
 キャラクターは、俺TUEEE系な主人公が突出していることは特筆すべきことだろう。性格や突き抜け方に好感が持て、ここぞとばかりには良い男になるので好評価。ただ、後にヒロインとなるであろう女の子の押しが若干弱いようにも感じたが、やはりこの作品の中心は作品タイトルにもあるように主人公――つまりはぐれ勇者――だから、それほど問題ではないとも思える。逆に言えば、ヒロイン重視型のライトノベルを期待していると、その期待に見合ったものは得られなさそう。
 挿絵は、表紙とカラーの口絵――実は書店で捲って見たカラーの口絵、最後のイラストに惹かれてこれに興味持ち出したとか、あまり人には言えない――が非常に好み。挿絵は、それに比べるとまずまずだが、悪くない。男はガッシリと、女はムッチリと描かれており好きな絵柄だ。
 今後のシリーズの展開に大いに期待したい。


はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ) (HJ文庫)

はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ) (HJ文庫)