幼年期の終り 感想

 どこからともなく飛来して来た宇宙人が地球を管理する中で、人類が広大な宇宙においては全くもって意味を為さない存在であるということ。そして来たる人類の消滅は連綿たる時の流れの中で一時の安息に過ぎないが、同時に人類の幼年期の終わりでもあった、という感じ。本当に科学的で、かつ哲学的に人類の存在意義を問うたSF作品。科学と哲学の融合、その妙。
 私事であるが、SF小説を意識的に読み始めて3年ほどになる。それらの過程において、ほぼエンターテインメントとしてのSFにしか触れてこなかった。そんな人間にとって、この作品は非常に思弁的である思えた。ただこういうものが、SFの本来の性質なのかもしれない。


幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

 余談。
 次に読む時は――何年先になるか分からないけれども――新訳版を読みたいと思う。