輪るピングドラム(上) 感想
アニメ未視聴です。
まず小説としてどうか。良く出来ていると思います。アニメは未視聴であるが故に、ピンドラというアニメ作品以前に読み物として面白いかどうか、良く出来ているかどうかを念頭に読んだんですが、何ら問題ありません。“小説としてどうか”とはそういう意味。文体等は小ざっぱりしていて、会話はテンポよく展開もサクサク進み、躓くところが一切無くて非常に読みやすかったです。
作者の高橋慶という人のサイト等をざっと見たんですが、これが初作品になるんでしょうか。情報を全く集めていないので、幾原監督との関係もよく分からないし。まあ繰り返しになりますが、小説としての体裁はきちんと整っているので、書き手の経緯は作品をみる上でそこまで重要というものでもないですね。
話に関して。これはまだ何とも言えませんね……。強いて言うなら、登場する様々な人間がどこかしら歪みを抱えているんですけども、至極純粋な歪みとでも言い換えられましょうか。キャラクター自身がこれからどこへ向かいたいのか、分かっているようで分かっていないから行動がいつもぶれるし、予想外の事が起これば動揺するという、至ってシンプルで真面目な話だと思います。
今のところ、そこまで奇を衒ったものではない印象です。
最後で、次巻も読ませようとしている引きはあるし、伏線もたくさん張ってあるようだし、一体どうなることやら皆目見当が尽きません。
あまり間を開けずに中巻も読みたいと思います。
愚痴
某所でこの上巻のレビューを読んでたまげてしまった。
アニメのストーリーに準じています。
実際に番組を観ていないとちょっと敷居が高いかも。
コレクターズアイテムかな?
あのさぁ……これは原作小説なの。
アニメが先にあって、それをノベライズ、とかではないの。
この本を読んではならない。
幾原邦彦の魅力は映像による演出であり、この小説では異空間へ導かれるときに流れる『ROCK OVER JAPAN』も聞けないし、プリンセスの神々しい脱衣も、陽毬の可愛さも表現されていない。
文章も会話文での改行がほとんどないし、流れが悪い。
もう一度言いますが、これは原作小説です。ノベライズではありません。この人はきっと、アニメを見た上で小説を読んでいるのだろうけれども。
あと、“陽毬の可愛さも表現されていない”と断言しちゃってますけど、本当にそうなのか甚だ疑問。あなたが、単に文章を読んで頭の中で想像出来ないだけなのではないかと。
“改行がほとんどないし、流れが悪い”にいたっては、本当にこの人本を読んだのかと疑いたくなりますね。