未来にキスを -Kiss the Future-

 今月の11日にプレイし終わっていた。実は東京に遊びに行っている最中にプレイし終わったんだけど――行く前にやり終えたかったが――ゆっくり感想を書く暇がなかった。時間が経つとゲームの内容を忘れてしまうし面倒だしどーしようかと悩んでいたが、ふと、「これこれこういうことを感想に書けばいいんじゃね」と頭に舞い降りてきたので急いで書くことに。

 というわけでこのゲーム、SF読みからすると普通にSFのエロゲー作品だなあという。いろんな人から、元長はどうのこうの……『未来にキスを』とはこれこれこういうこと……メタがどうのこうの……という"私見"を聞いたり、レビューを若干読んだりしたのだけど、俺からするとただの、人間とは、二次元キャラクターとは、社会とは、認識とはということを萌えエロゲー風味で語っているだけのSF作品でしかないという。や、そーゆーことを聞くのは好きですよ。でも自分は別にそういうのはいいかなあ。
 平易な文体で思弁的なこと云々をつらつらと言っているのもいいですよね。普通に好きです。構成も好き。各キャラクターごとに各々違う結論付けをしておきつつ、然しながら最後でパッとまとめる、今となっては――いやこの作品が発売された時代からそうだと思っているが――手垢がつきまくりな至ってシンプルな手法だけどとても良い。綺麗なんじゃないですかね。ただまぁエンタメエンタメではない気がする。『sense off』のほうが、よりこう。
 他には、『フロレアール』をプレイした後にこれをプレイすると、それらしい原型がここにあったのかーと気付くこと頻りじゃないですかね。

 これは以前マイミクだったお方が言っていらして俺も時折考えるのですが、エロゲーライターが自身のゲームのOPあるいはED曲あるいは両方を作詞することについて、そのライターが書くものと、歌詞を書くということを日常的に仕事として行っているいわゆる作詞家とを比べた時に、純粋に歌として評価できるのは後者で、だがその楽曲を作品の一部として見た時に、ゲームのシナリオを担当している本人が曲の詩も書くという強みはあるよなあと。例えば原始的冒険とかって言葉のチョイス、I'veの人がするかと言えば個人的には疑問なわけで。この作品の楽曲を仮にKOTOKOが行ったとして、おそらくこの作品のシナリオに沿った"それらしいもの"はできると思うのね。でも、この作品じゃないんだよ、それは、みたいな。元長(ライター本人)だと、この作品なんだよ、みたいな。
 『sense off』サントラのライアーノーツp.02で元長が「それにしても、いわゆる主題歌というものは、ゲームなり何なり(この場合はゲームだが)の演出と不可分のものとして存在している。その辺りを失念している人々が多いのはどうにも悲しい」と言っているけど、『猫撫』と『ギャングスタ』ってどうなんだろう。

 とまあ、そんなことは抜きにして「Kiss the Future」はとても素晴らしいと思います。
 特にイントロがね! ね!



 追記
 少し前に『未来にキスを』のサントラの値段を見た際は2k以内あるいは付近というくそ安い値段で、『sense off』とは大違いだなあと思っていたのに、今はなんだよ! わりかしプレミアと化してるじゃん! 『猫撫』でエロゲーライターとして復帰し、元長作品のプレイ人口が増えたからかなあ……。
 とぶつぶつ文句を言いつつ、まぁ単純に主題歌だけを聴きたいのならばCOLLECTIVEでいいかーと掘り出した今日この頃。


未来にキスを

未来にキスを