パッケージの向こう側

 僕は別にエロゲーを作っている人たちのことを絶対的に崇拝しているとか、そんな宗教じみた考えは一切ないし、(ぼかした言い方をすれば)最初から最後までまともにプレイできる作品を望んでいるんだけれども、少なくとも僕らが手に取るエロゲーのパッケージの向こう側には、生活をしている人がいるわけで、彼らは言うまでもなく空気を食べて生きているわけではないので、入用になってくるものも少なからずあるわけです。だから彼らは如何にして少ないリソース、或いは過去に作り上げて今となってはPCのHDDの肥やしになっている素材を有効活用し、自らの商売ひいては作品をより良いものにするかといったことに余念がなければならないはずだと思っています。何故なら、自分たち(エロゲーを作る人たち)がおまんまを食えなければ、作りたいものだって世に出せないんだし、本来ならそこから産み落とされるはずの数々の傑作(と、数々の傑作以外のもの)を僕らだって享受出来ません。僕らが享受する代わりに、その対価として払うものを払っていると言ってもいいかと思います(気取った言い方をするとね)。
 エロゲー界隈で「このメーカーのやり方、上手いなあ」と幾分か好意的に言っている人がどれだけいるのか、ふと考えてみました。残念ながら、まず、居ません(笑)。確かに僕自身、エロゲーをプレイし始めて今年で9年になるわけなんですが、上手いなあ、やり手だなあと感じた事例は、皮肉だったら幾つかあったかもしれないけれども、心の底からってのは無かったんじゃないかなと。でも、「このメーカー、欲がないな」と思うよりも、「このメーカーはなんて商魂逞しいんだ」と思えることのほうが、おそらく、いい。先日Twitterで、エロゲー業界は縮小に向かっているとの情報を見かけました。自分みたいにエロゲーを長らく楽しみたいと思っている人間にとっては、エロゲーを作っている人たちが貪欲に逞しく、勿論その為には原資も必要だと考えた上で、好機を逃さずに自らの作りたいものを大手を振って作って欲しいというのが、僕の率直な思いです。