僕と、僕らの夏 感想
ダムに沈む村を舞台に、少年少女の恋、そして過去、現在、未来に向き合っていく姿を、丁寧な筆致と秀逸なストーリーラインで大変真摯に描かれた、紛うことなき傑作でした。とりわけ裏ルート1では、ストーリーの流れが分かっているクリア後の状態で進めた上で、ヒロイン視点からもう一度話を進めることを効果的に使っています。主題歌フルバージョンの歌詞が流れ始めた某CGでは、「実はこんな表情をしていたのか……」と思わずため息が出てしまいました。また、裏ルート2(グランドエンドみたいなもの)では、物語を通じてずっと探していたものが明かされ、ラストで収束していく構成には膝を打ちました。本当に素晴らしい。
早狩武志作品は群青しかプレイしたことがなかったのだけど、処女作でこんな作品を世に出したという点で、賞賛しかありません。“こういう”話を書くライターだったのか、と目から鱗が落ちました。エロゲーにおいて、登場人物たちの恋を描くという点に関して、僕夏は間違いなく、今後一つの指標となり得えそうです。
てかもうお行儀悪くぶっちゃけちゃいます。群青しかまともに早狩作品をやっていなかった私だから敢えて言いますが、早狩作品を少しでも知っている人がこれをやらないのは本当に損失です。そんな教養主義的エロゲーマーな発言は慎めとか関係ない、是非やりましょう。
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