イジメてほしいの 感想

 大体の感想は読メに書いたんですが、如何せん文字数制限があって書き切れなかった――それだけ今回は細かい部分でも思うところがあった――のでこちらに追加分を書きます。


・「桃色書店」1ページ目、つまり全体では49ページ目になるわけですが、そのページの2コマ目、つまり下のコマに書かれてある本が右から順番にぼっしぃの「ちゅーちゅーちぇりー」、久遠ミチヨシの「Spray Pink」、Redropの「ナツコイ」と実在のものとなっていた点。全てこの単行本と同じワニマガジン社刊で、しかも簡略化されている絵は本物の単行本に似せてあるもんだから笑ってしまいました。

・「スマホDOLL」5ページ目、全体では85ページ目になりますが、ここで頻りに出てくる「ワニ」はワニマガジン社のマークであるワニから来てますよねどう考えても。ちなみにこの読切の1ページ目1コマ目で既にショップ名で「WANI PHONE」と描かれてありますね。

・この『イジメてほしいの』所有の「檻の中の淫戯」という読切のタイトルと(至極似ている)キャラデザが、実はMON-MONワニマガジン社二冊目の単行本『檻の中の淫戯』と同じなのだった。実際この『檻の中の淫戯』には「檻の中の淫戯」というタイトルの読切はなく、また表紙のキャラクターが出てくる話はない……。いや正確には逆なのだ、というのも、ワニマガジン社二冊目の『檻の中の淫戯』は2010年7月末に発売になったのだが、実はこの単行本に収録されている最新の作品は2010年7月号のコミック快楽天BEASTに掲載されていた「桃色姉妹」という話であり、また『イジメてほしいの』に収録されている「檻の中の淫戯」は2010年9月号のコミック快楽天BEASTに掲載されていた話。で、コミック快楽天BEASTは号数表記と発売月が1つずれている雑誌なので、二冊目刊行の際、表紙の絵とタイトルを発売月が直近の雑誌に掲載されているお話と合わせたんじゃないか、という結論に至ったわけである。単行本収録には間に合わないから、的な。
 そして二冊目でタイトルと表紙に(かなり似たキャラデザの絵を)使ってしまったが収録できなかった「檻の中の淫戯」を今回新刊の『イジメてほしいの』に入れてきたんじゃないか、と。
 余談だが、『イジメてほしいの』に収録されている読切で「桃色書店」というものがあり、これはコミック快楽天BEAST2010年10月号掲載……つまり2010年7月号のコミック快楽天BEASTに掲載されていた「桃色姉妹」からたった3ヶ月しか経っていないにも拘わらず「桃色〜」というタイトルが使用されたようです。

・シチュ傾向から雑誌を割り出そうとしましたが、あまり関係なかった。ワニマガジン社系の雑誌でも和姦もあればNTRもあるというか。他も然り。

・作品解説にある解説文を読んでなるほどなあ……とかなり納得した部分があった。以下に引用する。長いものは途中で適宜要約したり説明文章を付け加えている。

ネトラレに拒絶反応を示す方も多いと聞くので、寝取られる側の描写を最小限にして悲惨さを薄めるなど工夫してます

(長々とした文章でこれこれこういうNTRの)設定が大好きです。設定の説明がいらないので短編に最適で最近はネトラレばかり描いてます

(いわゆるNTRに類する作品の解説で)漫画では悪い男に彼女を奪われたという感じで描いてますが、当の女性からすれば物足りない男から乗り換えただけという見方も出来ますよね
「退屈な良い人」より「強引な不良」の方がモテるよなーと思いながら描いてました

(女性がエロ漫画を描く、という作品の解説文)昔はエロ漫画を見れば男が描いたか女が描いたか判別できたけど最近のはよくわからないですね〜
女は男視点で女を見る事ができるんでしょうね
男は女視点で男を見れないので女性向けエロ漫画は無理です*1

・またあとがきにおいて、

今後はもっと絵柄のバリエーションを増やしていきたい

 と書いていたんだけど、これは実際読んでみると、お話自体はほんと多種多様で、和姦やNTRや堕ち系やギャグ系など様々描ける人なので、ああこの作家さんは自分のこれから目指していくもの――伸ばすべきものが分かっているんだな、と強く感じた。
 またまた余談だけど、表紙絵や帯などは如何にも陵辱系統の漫画なのかな、と思う人が多いだろうけれども、繰り返しになりますがいろいろな作風の作品が詰め込まれていました。

イジメてほしいの (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

イジメてほしいの (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

*1:因みにMON-MONは他の作品解説で「昔彼女の誕生日を忘れてて怒らせたことがあった」と書いてあったので、男性作家ですね。