Fate/stay night 感想

備忘録としてもろもろを箇条書きで。
核心をつくようなネタバレはないと思います。


○プレイ前の状況
エロゲーマーとしては11年、プレイ作品数は批評空間へ登録しているものだけだと250くらいですが、もう少し多いはず。有名作はやっていたりやっていなかったり。ニッチなところはやっていない人よりは若干プレイしているか知識がある程度。わりと作品プレイ傾向は捻くれてたことがあります。最近じゃ素直にだいぶなんでもやるようになりました、ってところ
Fateシリーズは、通読したのはFate/ZEROの小説のみ、それ以外だと劇場版「Fate/stay night[Heaven's Feel]」の第一章を見ただけ。ほかは知りません。


○プレイしたバージョン
・シリーズとして最初に発売されたFate/stay nightとなります。


○プレイ後の感想
・紛うことなき傑作でした。全エンディング制覇。プレイ時間は56時間くらい。日数にして24日、エロゲーをやるときはずっとこの作品に浸かってました。プレイして本当に良かった……と思えるエロゲー体験は本当に久しぶりです。
・一番面白かったのは圧倒的に桜ルートです。聖杯戦争の真実、士郎の、正義の味方という価値観のシフト、いちエロゲーヒロインとして見た時の間桐桜の感触。さすが長いだけあっていろんな要素をぶち込みすぎだけど、よく成立してるし、滅法面白い。
 ただこれも、セイバールート、凛ルートを読み込んだ上での桜ルート、というのは本当でしたね。桜ルートだけ読んでも、過程をすっ飛ばしてるから「フーン( ´,_ゝ`)」ってなること請け合い。
 とはいえ3ルートは全部が独立した話なので、たとえば士郎の価値観のシフトについて、あくまでこの感触はゲームプレイヤーが感じるものでしかないですけど……なんだろう、重厚なエロゲーであることを最大限活かしているというか。特別なことはせず、ひたすら積み上げていき、そして『Fate/stay night』という一番の大枠のカタルシスを桜ルートで味わうところに、ドハマリしました。
・桜ルートでのただ一つ不満があるとすれば、よくインターネットで見られる『Fate/stay night』における汎用性の高い名言・至言が見られなかった点ですかね。「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」みたいな。
・「やっちゃえバーサーカー」「問おう、あなたが私のマスターか?」「別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」「さらばだ。理想を抱いて溺死しろ」「いくぞ英雄王――武器の貯蔵は十分か」「―――体は剣で出来ている」……と羅列してみましたが、分量の割には少ないですかね。

・あと、アーチャーの正体はマジで知らなかったですし、明かされたときは本当クリックする手が止まりました。。僕の場合、今までFateシリーズにまったく興味がなかったことも相まって、多分知らず知らずのうちに目に入っていなかったのだと思います。
奈須きのこが書くテキスト、ストーリーはこれが初だったんですが、予想していたよりもエロシーンの描写が普通に上手くて(エロくて)驚きました。これは個人的には一番意外だったかな。

・タイガー道場の反省会でも言われていましたが、この作品はどう考えても主人公・衛宮士郎の物語ですね。ここまで主人公の物語をやり通したエロゲーは他に類を見ない気がします。そういう意味では、この作品はあまり考察の余地がない。でも聖杯戦争というシステムについて妄想をふくらませると、かなり多くの二次創作が生まれそうな――というか今まで実際生まれてきたんだと思うんですが――、懐の深い作品だなと。

・すごく偉そうに書きますが、ある程度エロゲー体験を経たうえでプレイしても面白い、どころか大傑作だと言わざるを得なかった。この作品がいかに絶対的な大傑作か、ということを心に強く感じました。
 まぁ……正直言って打ちのめされました。やたら話が長く、でもその上で面白いエロゲーって完走した時に感じる強度ってこんなにも違うのか……という具合に。ただ、別にこの作品をプレイしたからと言って他のエロゲーが霞むとかそういうことじゃなくて、他の傑作・良作等々の価値を落とすことなく、でも「Fate/stay nightはすごいよね」と素直に言える……そんな感じです。
 あと具体的にどうというわけではないんですが、ちょっとエロゲーに対する価値観が変わったというか、物凄い揺さぶりをかけられた感触はあります。僕の中では、これは『CROSS†CHANNEL』とか『群青の空を越えて』とか……最近だと『ChuSinGura46+1』とかかな。それ以来の手応えで、もっと早くにやっておけばよかったかなと。
 ただもっと早くに触れていたら、どう思ったかはわかりません。エロゲーでも小説でも、僕は頭のいい読み手ではなく、昔はもっと悪かったので、多分良さを理解できなかったかもしれません。その観点から、今プレイして正解だったのかなーとも思ってます。
Fate関連ではhollow、EXTRA、CCC、レアルタヌアの真エンド。さらに型月まで広げて、月姫魔法使いの夜。さらにさらに奈須きのこの小説まで……全部手を付けるぞってくらいにはモチベーションが高まりました。


○まとめ
重厚なストーリーと世界観、個性的なキャラクター、先が気になる飽きさせない展開。読み手を大いに揺さぶる、魂の大傑作でした。
Fateシリーズという点からすれば、ようやくスタート地点に立ったところなんで、これから純粋に楽しめそうな作品が多いのはほんと嬉しい限りです。
うーん、とんでもない作品に手を付けてしまった。

Fate/stay night 通常版

Fate/stay night 通常版