果しなき流れの果に 感想

 巨匠小松左京の言わずと知れた作品です。巷の評価に違わず大傑作でした。これをオールタイムベストと挙げる人は多いのではないでしょうか。


 さて内容ですが、時間・空間共に「縦横無尽なスケールの大きさ」と書くと逆に作品が陳腐に思えてしまうくらいの壮大さを持っていました。また認識と時間、人間と宇宙の考察と問いかけは、当然現在も含めたこれ以降の作品(小説以外にも様々)にも通ずるものがあり、如何にこの作品が墓標的であったかは推して知るべきでしょう。エピローグの意味が分かった時は結構グッときましたよ。この切なさは真にSFですなあ。目頭が熱くなりました。因みに俺はドラえもんが大好きで、故に割かし見慣れたテーマだったのですけれども、ドラえもんもこういう歴史が〜云々のネタは特にスペシャルや大長編なんかでは何時もやっていますよね。否、正確には藤子さんが何時も使っていたというべきでしょうか。
 また、先日読んだ野阿梓『兇天使』は、これのささやかなオマージュだということは氏も言っていたことなので承知しておりましたが、読んでみると、P300くらい辺りで、果しなき〜の全編がそうだなあということが実感出来ました。どちらも読んだことのある方は、俺の言いたい全編の意味が分かるはずです。モチーフというか、何というか。
 調べてみたところ、時間テーマの扱い方(歴史云々の件)は処女作『地には平和を』から一貫しているとのことなので、他の作品も読んでみようと思います。これまた先日(というか昨年末)に読了した水見稜『マインド・イーター』は『ゴルディアスの結び目』のオマージュということで、気になっていました。元々マインド・イーターを読んで小松左京、そろそろ読まねばなるまいてと思い始めたものですから、こうなる(小松作品を読み漁る)ことは分かっていたことなのですけれどもね。いい機会となりそうです。


 あと完全に余談になりますが、RPGゼノギアス』が好きな方はこの作品、マジで読んだ方がいいと思います。まんまです。


果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)


 読書メーターで呟いたことを纏めて置きます。まあ碌な事を言っていないんですが。
・P300あたり ここら辺を読んでいて、兇天使が果てしなき〜のオマージュだなあという実感がわりと湧いて来た。
・P345あたり ああ! 1・2章のあれはそういうことだったのか……。例えばゼノギアスの、冒頭ムービーと、ディスク2の後半で繋がることを彷彿とさせられる、これ。
・P421 ああああああ!!! エピローグその2→その1 ってそういうことか!