くくるくる 感想

 なぜか死ねない少女とストーカーである少年を巡る話。ネット上でいくつか感想を漁ったが、それらの大半に書いてあったように、最後はどんでん返しだ。そのどんでん返しに辿りつくまでに最後に繋がるようだと思われる伏線を張ってある箇所もある。もちろん、最後まで読み終えて全体を振り返った時に初めてその箇所が伏線だったと気付くのはいうまでもない。
 しかし、その点を売りにするほど巧妙に出来ているかと問われれば正直言って首を傾げざるを得ない。もちろんこの少年少女の場合の恋愛はそのギミックを以って語らないと成立し得ないことはたしかなんだけども、「最初“そう”だと思っていたものが実は”そう”ではなかったが最終的には”そう”なってしまった」って、まさにタイトル通りだとは思うのだけども、ある意味では遠回し、結果冗長な話になってしまっているとも感じてしまった。
 また、「その文章・言葉はあくまでも伏線なんだよ」と言われればそうかもしれないが、いかんせんそれらの多くが伏線という要素としてあまり体をなしていない(多少後付けな感じが否めない)にもかかわらず、どんでん返し後に出てきたそれらの要素が物語の中軸に入り込みすぎていて、どうにもどんでん返しをやられたという驚きがなかった。結局、「そういうこと」としか捉えられない設定だったのは、キャラクター付けやテキストがいいからこそ、惜しいなと。


くくるくる (ガガガ文庫)

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