様々な角度から見る「2chベストエロゲー2010」

 以下は、時間と気力がありエクセルを持っている人ならば誰でも出来る内容となっているので、もしそのような人がいたら、この日記をわざわざ見るよりも自分でやった方が早いと思います。
 それを踏まえたうえで、どうぞ。


 2chベストエロゲー2010
 http://mas.bne.jp/anko/besterog/2010/


 某SNSで知人がざっと2010年ベストエロゲーの結果を解説しておられて、「くそう、先をこされた! 俺も書こうと思っていたのに!」と少々悔しい思いをしたんですが、よくよく読んでみたら、いやいやまだやれること(検討できること)はあるんじゃないかと思いたち、書くに至った次第です。
 そのやるべきことは後ほど説明するとして、まずは、加点制で集計した場合の順位30位までを書き出してみます。

  1. 素晴らしき日々 〜不連続存在〜 262pt
  2. 黄昏のシンセミア 193pt
  3. 戦女神VERITA 183pt
  4. のーぶる☆わーくす 152pt
  5. リアル妹がいる大泉くんのばあい 124pt
  6. 星空のメモリア Eternal Heart 116pt
  7. WHITE ALBUM2 -introductory chapter- 93pt
  8. るいは智を呼ぶファンディスク -明日のむこうに視える風- 93pt
  9. キッキングホース★ラプソディ 73pt
  10. あまつみそらに! 71pt
  11. 恋色空模様 69pt
  12. 処女はお姉さまに恋してる 〜2人のエルダー〜 68pt
  13. あかときっ! -夢こそまされ恋の魔砲- 67pt
  14. 紫影のソナーニル -What a beautiful memories- 67pt
  15. 失われた未来を求めて 60pt
  16. 君の名残は静かに揺れて Flyable Heart If that time 58pt
  17. 最終痴漢電車3 51pt
  18. アッチむいて恋 47pt
  19. エヴォリミット -Evolimit- 45pt
  20. BALDR SKY DiveX -DREAM WORLD- 44pt
  21. キサラギGOLD★STAR -moonlight selenade in autumn- 43pt
  22. 俺たちに翼はない AfterStory 42pt
  23. 暁の護衛 〜罪深き終末論〜 41pt
  24. 信天翁航海録 40pt
  25. ク・リトル・ リトル〜魔女の使役る、蟲神の触手〜 39pt
  26. 初恋サクラメント 36pt
  27. 少交女 29pt
  28. VenusBlood -EMPIRE- 28pt
  29. 桜花センゴク 〜信長ちゃんの恋して野望!?〜 28pt
  30. DEARDROPS 26pt

 結果はご覧の通りです。この時点で、「やっぱりすばひび1位かー」とか「ファンディスクが上位5位に2作品もランクインしているだと……*1」とか「つい先日発売された作品が上中位にランクインしているだと……*2」等の感想をお持ちになるでしょうが、ここで思い出してもらいたいこと(――このランキングの仕組みを知らない人はそういうのもあるんだーと思ってください)があります。それは、この投票では投票と同時に任意で以下の5項目の中でどの要素が良かったのか記載するようにもなっていることです。

  • S シナリオ(Scenario)
  • C キャラクター、声(Character,voice)
  • G 絵、演出(Graphic,effect)
  • M 音楽(Music)
  • P ゲーム性(Playability)
  • プラスアルファで、エロ度

 つまり、各々の要素でソートしその結果を見ると、それぞれの作品のどこが評価されているのかがよくわかります。そして、それと上記のランキングを照らし合わせれば、なにか見えてくるものがあるんじゃないか、と。
 では次に、それぞれの要素でどんな作品が評価されているのか上位30位までをソートして調べてみます*3。言うまでもなく30位まで全部載せると長くなってしまうので、上位5つまでを切り取って載せることにしました。ポイント数の後ろの()内は、(総合順位→ソートした要素での順位)というように、変化が分かるものになっています。


  • S シナリオ(Scenario)要素について

 ソートした結果はこちら。

  1. 素晴らしき日々 〜不連続存在〜 114pt (1位→1位)
  2. リアル妹がいる大泉くんのばあい 66pt (5位→2位)
  3. 黄昏のシンセミア 62pt (2位→3位)
  4. WHITE ALBUM2 -introductory chapter- 52pt (7位→同率4位)
  5. るいは智を呼ぶファンディスク -明日のむこうに視える風- 52pt (8位→同率4位)
  6. 星空のメモリア Eternal Heart 49pt (6位→6位(事実上5位))

 1位がぶっちぎりなのはさておき、リア妹がシンセミアに僅差で勝っている……言い方を変えると、リア妹とシンセミアのシナリオが“同程度に評価されている”ということでしょうか。これは驚きました。
 あとはファンディスクが4位5位にランクインしていることも見逃せません。

  • C キャラクター、声(Character,voice)要素について

 ソートした結果はこちら。

  1. のーぶる☆わーくす 79pt (4位→1位)
  2. 黄昏のシンセミア 55pt (2位→2位)
  3. るいは智を呼ぶファンディスク -明日のむこうに視える風- 48pt (8位→3位)
  4. 星空のメモリア Eternal Heart 44pt (6位→4位)
  5. キッキングホース★ラプソディ 41pt (9位→5位)

 ヒロイン数で勝るシンセミアを抑えて、のーぶるが1位。ポイントもそこそこ離しています。*4
 この要素も、ファンディスクが2つもランクイン。それとキッキンがランクインしているということは、キッキンはヒロイン数の少なさを質でカバーしている、と考えてもいいのでしょうかね。*5

  • G 絵、演出(Graphic,effect)要素について

 ソートした結果はこちら。

  1. のーぶる☆わーくす 44pt (4位→1位)
  2. 失われた未来を求めて 40pt (15位→2位)
  3. 恋色空模様 25pt (11位→3位)
  4. 星空のメモリア Eternal Heart 21pt (6位→4位)
  5. 素晴らしき日々 〜不連続存在〜 20pt (1位→5位)

 のーぶるが僅差でわれめてに勝利している……言い方を変えるとのーぶるとわれめての絵、演出が“同程度に評価されている”ということでしょうか。これは驚きました。
 発売時を振り返ってみると、俺の周りでは恋色空模様は絵買いしている人が多かったように思います。そして相変わらず星メモEHは強いです。

  • M 音楽(Music)要素について

 ソートした結果はこちら。

  1. 素晴らしき日々 〜不連続存在〜 62pt (1位→1位)
  2. WHITE ALBUM2 -introductory chapter- 29pt (7位→2位)
  3. 黄昏のシンセミア 22pt (2位→3位)
  4. DEARDROPS 15pt (30位→4位)
  5. キサラギGOLD★STAR -moonlight selenade in autumn- 11pt (21位→5位)

 すばひびが2位以下を突き放していますが、それも含めて全体的に自分の思っていた通りの結果に。DDSはメーカーがメーカーなので納得のランクイン。WA2ICとキサラギ、やはり葉鍵(系列)のBGMは強いなあというところでしょう。

  • P ゲーム性(Playability)要素について

 ソートした結果はこちら。

  1. 戦女神VERITA 85pt (3位→1位)
  2. BALDR SKY DiveX -DREAM WORLD- 34pt (20位→2位)
  3. あかときっ! -夢こそまされ恋の魔砲- 33pt (13位→3位)
  4. VenusBlood -EMPIRE- 13pt (28位→4位)
  5. 黄昏のシンセミア 10pt (2位→5位)

 驚いた点は2つあります。1つは、tail系列がランクインしている点。嬉しいですね。
 もう1つはただのADVであるシンセミアがランクインしていること。たしかにあのシステムは便利でしたけど、これってゲーム性として評価されるべきものなのかな? と疑問に思ってしまいました。

  • H エロ度(Hentai)要素について

 ソートした結果はこちら。

  1. あまつみそらに! 35pt (10位→1位)
  2. 最終痴漢電車3 28pt (17位→2位)
  3. 少交女 23pt (27位→3位)
  4. のーぶる☆わーくす 16pt (4位→4位)
  5. 失われた未来を求めて 13pt (15位→5位)

 エロ度といわれた時に、ただずっこんばっこんヤッててキャラ性もシナリオも何もない抜きゲーや陵辱ゲーを思い浮かべるのはもはや時代遅れなんだろうか、と思ってしまうくらいの結果に(さすがに偏見持ちすぎですかね?)。それだけ、萌えキャラゲーがただの萌えゲーで終わらずに、しっかりとエロいエロシーンが書かれているということの裏返しなんでしょうが……この中で“それらしい”抜きゲー陵辱ゲーといえば1つしか入っていません。少交女は、プレイした感じ“ただの”抜きゲーじゃないと思うんですよね。
 それ系のゲームが好きな人の中には、この結果はちょっと複雑な気持ちなるという人もいるんじゃないかなと心中お察しします。ただ、私的なことを言うならば、この結果は至極納得です。
 10年代は、萌え萌えで明るくて楽しい濃厚なエッチに重点を置いた“萌エロゲー”(萌えとエロとエロゲーをかけたもの*6)の時代になるのでしょうか。*7


 以上になります。
 ゼロ年代を経た、10年代の幕開けとなった昨年のエロゲーの動向がなんとなく分かったかなあと思います。*8。最初はどういう評価を得ているのか、という動機から始めたんですが、一つひとつソートしていくごとに予想外の結果が次々と出てきて、いやあ面白かったです。振り返る意味でも、やってよかったなと思います。


 最後に。この日記はudkさんの昨年のとある記事*9がなければ俺はやろうという考えに辿り付かなかったと思います、ということは言っておかねばならないでしょう。

*1:2008年に発売のるい智と星メモのファンディスクがこんなに投票されているということは、本編が相当に人気な証拠だと思います。だって普通に考えて、本編とファンディスクつったら本編の方がプレイ人口的には多いわけで、その中でファンディスクがこうも健闘しているのは、本編の人気あってこそだよなと感じずにいられません。

*2:12月に発売された『のーぶる☆わーくす』や『あかときっ』が上位にランクインしていることは、それだけ作品の出来がよく、かつそれがちゃんと広まっていたからじゃないかと。例えばすばひびなんつーのは去年の3月に発売されて、そこからベストエロゲー投票までは十分な時間があるじゃないですか(――つまりその間に評判が広まって、プレイ人口が増える可能性は、12月とかに発売された作品よりは高いということ。当たり前ですが)。シンセミアでも同じです。なのに、こうも肉薄しているってことは、それだけちゃんと作られてかつ受けが良かったから、ってことに他ならないと思うんですよね。

*3:なぜ総合ランキングを30位までにしたのかというと、要素別にソートした時に30位以内まで範囲を広げないとカバーしきれないと判断したため。

*4:昨年の、キャラクター重視の学園物エロゲーの覇者は『のーぶる☆わーくす』なんだな、と。

*5:余談ですがAlcotミドルプライスシリーズはもはや一つのブランドとして地位を築きつつありますね。時間が取られない社会人にとってはやさしい作品群かと。

*6:というか『萌エロゲー』って去年に始まったことじゃないですよね。過去作あされば普通にありそうです。なんかいかにも去年から出始めました的な文章になっちゃっていますけど、まあいいや。

*7:つまりたぬきそふとの時代ですね、わかります。

*8:そしてなによりも大作不在の年でした。いや、2009年が豊作すぎたんでしょう。

*9:http://udk.blog91.fc2.com/blog-entry-626.html