ONE 〜輝く季節へ〜 感想

「0」と「1」の物語


シナリオライター・小説家の元長柾木
「この作品の存在自体奇跡」
と言っていて、どう言う事だろうと作品の発売年(オリジナルは98年発売)の前後を見てみたら……確かに言いえて妙だなあと納得してしまった。


ってなわけで今年1本目のエロゲー終了。
久々にこちらにもレビューをあげる。


ONE〜輝く季節へ〜(Tactics

ONE ?輝く季節へ? Vista動作確認版

ONE ?輝く季節へ? Vista動作確認版

http://nexton-net.jp/~nexton/one_full/


Keyが設立される前の麻枝准作品(のフルボイス版をプレイした)。
前半コメディ、後半シリアスのストーリー。日常→非日常、そして日常への回帰で「俺たちの幸せはこれからだ!」とでも言いたげな手法も今となってはお決まりのもの。発売年次を見ると古い作品、だが話自体に古臭さは感じられなかった。
ヒロインとの恋愛→つながり→離別→エピローグという展開はどのルートもほぼ同じ。だから起伏が乏しく単調なんだけど心に揺さぶりを掛けてくるものが確かにあった。
また、どのルートも主人公とヒロインは最初は精神的に幼くて子供っぽいままなんだけれども話が進むに連れて大人へ成長して行く姿も描かれている。学園物としても王道と言えば王道。


物語の核心に迫ったルートを先にやらないと展開が訳分からないのだけど、そのルートを攻略してしまうと後に他のルートを攻略する気が削がれるだろうと思う。
もしONEをこれからやろうとする人がいるなら、長森ルートと茜ルートが物語の核心なので必須。みさきルートは個人的なお勧め。他はやってもやらなくてもよい。俺は全部やったけど。


氷上「・・・家族に大病を患ったひとがいないかい」
浩平「おまえは、最短記録でオレと親友になれた奴だよ」


そして最後は必ず氷上で締め。元々誰かヒロインルートをクリアしないと開放されないルートで、無視する事も出来る。しかしこのキャラをやらないと世界観の補完が不十分であるので、一応、必須。
それでも全てが語られるわけじゃないから多少の考察は必要。先人達が残したレビューをいくつか摘むのも良い(ググれば腐るほど出てくる)。
逆に、劇中で全ての仕組みや謎を語ってくれないと満足出来ないと言う人にはお勧め出来ないとも言えるゲーム。


個人的に思う事を言うなら……敢えてそこ(世界観)は突っ込まずにエンターテインメントとして楽しむのが良いのかも知れない。
あくまでも主人公とヒロインを演出する一種の舞台装置に留まっていて、プレイして一番感じて欲しい事はその二人のつながりであるような気もするし。


世界観は少々厄介とは言え、お話を通じてライターがこんな事を訴えたいのだなと言う事はプレイしていて比較的分かりやすい。
たとい日常が退屈だったとしても永遠ではなく限りがあり、限りがあるからこそ見えるもの、気付くものがある。でも自分の好きな人とならその後の人生を一緒に歩んで行ける(劇中では歩んで行こうとして主人公が帰ってくるわけだけれども)し、永遠でなかったものは自分の心の中では永遠に生き続けると同時にこれからの人生を好きな人と共に生きてゆく糧にもなる。……と言ったものだと、特に最後(ヒロインにおいては)、茜ルートをプレイして俺はこう思った。またどのルートにも言える事何じゃないかなとも思った。


とここまで書いてレビュー考察等を色々ぐぐったら、自分の考えは先人達には叶わないことが分かったので、これ以上はやめておきます。


巷では泣きゲーの元祖と言われているみたいだけど、ボロボロ泣くものではなかったように思う。みさきと茜ルートは感情移入してちょっと“くる”ものがあったけど。
ただ、もう一度言うけど何かしら心に揺さぶりを掛けてくるものがあったのは確か。
Keyの原点を知りたいと言う人はプレイしてみればどうかな。


余談
設定資料集はまだ読んでいない(というか買っていない)んだけど、「ONE」って単語の意味に「1」以外に「1人」って意味もあるよね、とふと思った。代名詞としてだけど。


ONE ?輝く季節へ? Vista動作確認版

ONE ?輝く季節へ? Vista動作確認版