sisters 〜夏の最後の日〜 感想

 エロゲーにおけるトレードオフの一例。

 エロシーンのアニメーションの出来はとてつもなくよかった。が、話はとてつもなく短かった。
 概ねこんな感じですかね。
 ただ、この両者はトレードオフだと思うんだよね。分かりやすい例を挙げると、リトルウィッチの「FFDシステム」と同様に、「すごくよくできたシステムなんだけれども、とある理由によりお話の尺自体を短くしなければならない」という、あれみたいな。

 これだけだと何を言いたいのか分からないと思うんで、分かりにくい文章で以下、説明。
 Jellyfishは、それこそ鍵や葉っぱやアリスソフトみたいに大手ではなく中小メーカー、あるいはもっと小さいメーカーだということは、おそらく誰が見てもそう言わざるを得ないと思われます。
 たしかにそのアニメーション技術を活かしてminoriやOverflowみたいに「外注で他のエロゲーメーカーのOPムービーを制作する」ということはしているけれども、やっぱり中小メーカー、ましてやコンスタントに新作をポンポン作っているわけでないのだから、尚更。
 という事を考えたときに、前作である『Lovers』でお叱りを受けたであろう、メインヒロインである女の子との初エッチのシーンだけをマジ気合の入ったエロシーンムービーに仕上げて、他は本当にお粗末程度のものであったということは、「お話はとりあえず分岐もあって、キャラ毎のENDもそこそこ適当に作って尺もある程度のものにする」ということをしたことに対する払った犠牲がそれだよね、ということは否めない。

 で、今回はどうだったのかというと、『Lovers』の全く逆のことをしている。
 つまり、「すべてのエロシーンをマジ気合の入ったエロシーンムービーにしたがために、お話の尺自体を短くせねばならなかった」ということ。
 なぜ? すべてのエロシーンをちゃんとしたアニメーションにして話も長くすればいいんじゃないのかい? と思った人は、Jellyfishが果たしてそんな大手みたいにできるくらいのメーカー力(りょく)があるのかどうか今一度考えてみると、まあそうではないよねって思わざるを得ないはず(だと俺は思う)。

 この両者はトレードオフというのはそういうことです。わりと(俺の説明が、ではなくJellyfishにおける関係が)分かりやすいですよね。
 ちなみに余談なんですが、なぜリトルウィッチのFFDシステムをトレードオフの関係の一例として引き合いに出したのかというと、『sisters』をプレイしてどんな感想を書くかなって考えたときに、「これって完全にトレードオフの関係じゃね? しかもリトウィチのような……はっ!?」と、まあ書き出してみれば何を当たり前のことをということを思いついて今ドヤ顔で書いていると、そんな感じです。
 またまたちなみにFFDシステムがトレードオフの関係だということの最低限のポイントだけ言っておくと、あのFFDシステムはシステム上、原画家に対して普通のADVゲームを制作するのとは比にならないくらいの多大な労力を要してしまうということ。そして、リトルウィッチの代表はイコール原画家であり、また代表以外の原画家はいなかったということ。
 これらを組み合わせると、FFDシステムと尺の短さはトレードオフの関係だということは、俺が説明するまでも無くすんなりと回答が出てくると思います。


sisters ~夏の最後の日~

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