てこいれぷりんせす! 感想
・てこいれぷりんせす!(propeller)
http://www.propeller-game.com/product/tekoire/aff/index.html
主人公がいきなり現実とは違う世界にあぼーんさせられて、そこでお姫さま達に会う。でも、主人公は何故かその違う世界では透明人間の状態でいるから、女の子にエロい悪戯し放題! っていう、いかにもエロゲーっぽいエロゲー。
ギャグセンスが光過ぎて眩しい。俺が思うに、(プレイしていない人には分からないだろうから比較対象に挙げて申し訳ないけど)田中ロミオと同等、もしくはそれ以上。
驚いたのが、世界観が、しっかりと構築されてる点。
よくエロゲーの感想で、「雰囲気のいい世界観」って書く人いるけど、いいとか悪いとかは別にして、ちゃんと理詰めがされてる。ファンタジー物としてみても、十分納得のいく形になってる。ネタバレにならない程度に言うと、上記で「主人公が異世界ではなぜか透明人間」という設定と大いに関わってくるんだけどね。
そしてその世界観設定に負けず、シナリオが書かれていた。単にギャグ連発パロネタ連発下ネタ連発で終わらずに、しっかりと、広げる所は広げ、しめる所はしめてた。
一応、俗にいうシナリオゲーのような高尚なシナリオではないという事を――断るまでもないだろうけれども――断っておく。
あと、唐突だけど、卑語ってあるじゃん? ○まんこ〜とか、○ちんちん〜とか。
これらって、いわゆる抜きゲーの中で伏字になってたりピー音で修正されてたりすると微妙に萎えるんだけど、ことギャグゲーにおいてはこの修正自体が効果的な役割を果たすんだなあとしみじみ思った。
具体的には伏字やピー音であるからこそそれを逆手に取って笑いを作っているシーンがある、といった感じでね。
こういう発想は、いいね。よく考えられているなあと思う。
で、少々話が前後してしまうんだけど、その卑語修正云々を利用してってのを実現するには、やはり、キャラクターの中の人が絶対的に重要になってくるわけで……。
俺が聞く限りだと、どのキャラの声優もいい演技してる。特にこのゲームは主人公に声がついていて、厨房的エロい妄想と自虐的な突っ込みの両方を上手く使い分けてヒロインとの会話において笑いを取ってる。
また、当然っちゃあ当然だけど、男キャラに女性声優が声をあてるってのがエロゲーでは少ないから新鮮でもある。
やはり(『白光のヴァルーシア』のパッケージを眺めつつ)ショタ男キャラに理多が一番だね!
他には、欠点ではないけど、キャラクターに、いわゆるキャラゲーありがちな記号化された萌え要素〜なんてのはあまりないので、そういうのを求める人には向いていないかも。
原画も流行りの、いわゆる萌え絵ではなく、比較的特徴ある方だし。俺は好きだけどね。太股の描き方とか、垂れ乳なんてのはすっごく好み。
こう書くと、やっぱりエロ漫画畑の人なんだなあと、改めて思う。
ちなみにこれは欠点だけど、CGの塗りと背景は正直、良いものとは言えない。むしろ後者は酷いと言っても差し支えがない領域。
加えて音楽。そんなに印象に残るような曲はなかった。
OPを載せておく。
荒川工氏が代表を務めてい『た』、か……。とある人は、「荒川がいたころのプロペラのほんわかな雰囲気が今全然なくて寂しい」と言っていたな、そういや。
でも、2chのスレを見る限りだとプロペラ退社前後は公私共に色々酷かったって書いてあるんだよね。
もう一つ。好きなキャラ。
これはもう確実にゲームをプレイする前から――具体的にはOHPを見ていた時から――フランしかいないよなあビッチっぽいしなあ、と俺の中では思っていた。
で、いざフランルートに入ったらただのビッチじゃなかった。この人凄くいい人じゃん! と。
このゲームには4人メインヒロインがいるんだけど、意外にも、一番常識があり、かつ良識的な姫としての自覚も大いにあり、さらに王妃になるに最も相応しいヒロインはフランだった。
プレイすれば分かる。本当に、ただのヤリマンではなかった。
そうだよ、俺はこういうビッチを求めていたんだよ!
……と思いつつ、隠しみたいなルートに入ったら全てが吹き飛んだ。何これ。キャラの豹変振りもさることながら、さすが中の人(名前を出すとどのキャラかばれてしまうんで、「中の人」と書く)と言わざるを得ない。
最後にエロシーンについて。
名前出すけど、J・さいろーも参加しているから、エロシーンは基本的によく書けてる。特にトゥルールートのハーレムは良い意味で酷い。抜きゲーでもないのに恐ろしい空間になってた。
結論。
「荒川工の会話回し」+「J・さいろーのエロ描写」+「A-10の変態絵」
=普通のゲームを期待するな。
でも、個人的には期待以上の良い出来だったけどね。
最近こういう癖がありすぎるゲームが発売されただろうか。
それこそ、『私は私のまま、誰にでも変われる』くらいしか……なんで『私は〜』がここで出てくるのかって? や、ほら、このゲームのメーカーは匠じゃないですか。工だけに。
以上、簡単ではあるけどこんなところで筆をおく事にする。ギャグゲーとしてみれば、中々に良い出来なんじゃなかろうか。
以下、個人的に最近思う事を少々。
なんか、シナリオゲーキャラゲー云々なんて枠組みで考えなくなってきた。エロゲーはエロゲーで、それこそ『ゲームをしていけば』それでいいのかなーとかなんとか、思うようになってきた。
いや、勿論硬派なテキストをどんどん読み込ませていくいくゲームもあるにはあるし、そういうゲームが出たのなら、面白そうだと思うものはプレイする。これはおそらくずっと変わらない。でもそういうのは年に(新作に限ると)2、3本出れば十分な方だしね。
あれ? こう考えると、もしかして俺って、一生エロゲーを完全にはやめられないのか。
リアルで俺かエロゲーが消滅しない限り。
ま、まぁ、それはさて置き。
それに、あんまり若いうちから大味なゲームばっかりやってると、早い内に感性が擦り減っちゃいそうで怖い、っていう事も考えるようになった。もう手遅れかもしれないし、元々あるかどうかも分からないが(苦笑)。
あんまり拘らずに、自分が面白そうだと思うものをやっていけばそれでいいんだろうけれども。
こんなところで、筆をおく事にする。直上の2段落は蛇足だけど。
久々にレビュー書いたにしては、ポンポン書きたい事が浮かんできたかな。まぁ、逆に言えばそれだけ単純なゲームって事なんだろう。
頭を空っぽにして、でもシナリオも蔑ろにされていないゲームやりたいって人には、お勧め。ただし、少々癖のある原画は、よく見た方がいいよ!
- 出版社/メーカー: propeller
- 発売日: 2007/03/30
- メディア: DVD-ROM
- 購入: 2人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (4件) を見る