黒い家 感想
ホラーではなく社会派ミステリーだと思った。社会派である理由は生保業界の話題が物語の本筋に見事に絡められているからで、ミステリーである理由は単純に殺人事件が起きてその犯人との攻防が繰り広げられるから。
そして本作におけるホラー性は、読者を怖がらせる方法としてのホラーという側面よりも、社会派的なネタをミステリーの方法で取り組んだ結果必然的に発生したものだと思う。そもそも家族を対象にした保険金殺人そのものが異常性を以って描写されなければ話に説得力がないわけで、その時点でホラー色をおのずと帯びるのだとも考えた。
いずれにせよ、息もつかせずに読者を惹き付ける秀逸な作品だ。
- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/12/10
- メディア: 文庫
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